「秩父山中 花のあとさき ムツばあさんの秋」というテレビのドキュメンタリー番組で見た景色が見てみたい、ムツおばあさんが植えた木々に咲いた花を見てみたいと思い、2017年3月、埼玉県吉田町大田部訪ねた。
このドキュメンタリーの内容には、本当に心打たれた。と同時に、この吉田町太田部という所が、いったいどんな場所なのか、この目で確かめたいと思い、桜が咲くちょっと前のまだ肌寒い3月の終わりに秩父へ向かった。ムツおばあさんと番組の内容については、テレビ局のウェブサイトに下記のような説明がある。
過疎化が進む埼玉県秩父の山あいの村で、もう耕さなくなった先祖代々の畑に、1万本以上の花やもみじを植え続けてきた小林公一さん・ムツさん夫妻。「耕せなくなった畑を放っておくのは申し訳ない。せめて花を植えて山に返したい」という思いからである。2006年(平成18年)秋、夫の公一さんが肺炎で亡くなった。晩秋、2人が植えたもみじが鮮やかに色づく山村を訪ね、ムツさんの晩年の過ぎゆく穏やかな時間を見つめる。
NHKアーカイブス ハイビジョン特集 秩父山中 花のあとさき ムツばあさんの秋
走行ルート
ルートは、西武秩父駅〜太田部峠〜吉田太田部〜神流湖〜土坂峠〜西武秩父駅。全長79km、獲得標高が1,274mの行程だ。
輪行で一気に秩父へ!
都心を朝8時に出発して、電車に揺られること約1時間半、9時40分過ぎに西武秩父駅に着いた。途中、電車の乗り換えに失敗して、池袋駅をさんざん歩かされてしまったが、スムースに行けば、もう少し早く着いたはず。
さて、西武秩父駅では、駅舎に併設されている土産物店や食堂がリニューアル中ということで、あてにしていた朝ごはんはおろか、補給食すら調達できないという事態となった。仕方がないので自転車を組み立てて走り出す。
秩父駅から吉田太田部へ
まずは、荒川を渡って県道72号線で北上。朝食抜きだとペダルを踏む脚に力が入らない。途中のコンビニで補給すればと思ったが、走れど走れどコンビニが現れずに焦る。和菓子屋さんがあったのでピットイン。どら焼きと干し柿を買って先に進む。
県道44号線をしばらく進み、「尾田薪」信号にデイリーヤマザキがあったので吸収されサンドイッチと牛乳で補給。道中の食べ物は、和菓子店で購入したどら焼きと干し柿が背中のポケットに入っていたので買わなかった。しかしこれが失敗。あとで痛い目を見ることになる。
県道44号線の「吉田」交差点を右に折れ、県道270号線・吉田方面へ向かう。
いつのまにか37号線になっていた県道を、吉田川に沿って西に進む。そして、「石間交流学習間」、「秩父事件資料展示室」、「城峯山キャンプ場」という案内板があるT字路を右折する。
右折した後は、吉田町太田部の玄関口、太田部峠への上り道が始まる。
再び「城峯山キャンプ場」という案内板があるT字路を右折する。
青看板には「太田部」と表示されている。
太田部峠
城峯神社方面へ右折した場所が標高230mくらい。そこから一気に標高780mの太田峠へと駆け上がる。峠道は明るくて走りやすいが、眺望はなく黙々と上る感じ。
550mアップして、恐らくここが太田部峠だろうという場所に着いたのだが、峠の標識は無く、あったのは朽ち果てた観光ガイドの看板のみ。
太田部峠を通過し下り始めると、途中で開けた場所が現れ遠くに集落が見えた。奥秩父の「天空の里」といわれる沢戸集落だ。
太田部峠からの下りは結構な急坂。一箇所T字路があったが、迷うこと無く進める。
急な下り坂が続く。路面は荒れてないので走りやすかった。
ムツおばあさんの家
標高500mのあたりまで下ると、ムツおばあさんの家がある楢尾(ならお)地区に着いた。ヘアピンカーブの手前に、「このうえ100米 ムツさん宅 楢尾」と手書きされた立て看板がある。
太田部楢尾は、埼玉県の北西に位置する秩父市のある地域で、群馬県との県境にある。住んでいるのはお年寄りばかりで、限界集落と呼ばれている。
かつてこの太田部楢尾地区一帯は、700名近くの人が住んでいたが、2002年の時点で戸数5戸、住民が9人になったそうだ。ムツさんの夫である公一さんは2006年に、ムツさんは2009年にお亡くなりになっている。
加齢とともに。畑仕事ができなくなっていったムツさん夫婦は、畑をそのまま放っておくと荒れてしまうので、木の苗と花を植え、畑を山に返そうとしました。そして、10年にわたって1万本以上の木の苗や花をこの楢尾地区に植えてきたそうです。
私が訪れたのは、2017年3月19日。ムツさんが植えた木々に咲く花を見るには、少しだけ時期が早かった。
今度訪れる時は、もっとたくさんの花が咲いている季節にしたいと思う。
神流湖
吉田太田部を後にし、神流湖に出る。ここにはかつては集落があったそうだが、下久保ダムが建設されたことによってできた人造湖の底に沈んでいる。
神流湖の北側には国道462号線が通っており、西に進む。国道462号線は、通称「十石峠街道」とも呼ばれるらしい。持参した補給食と飲料が底をついたが、売店も見当たらず万場という地名のあたりで県道71号線へ左折し、土坂峠へ上り返す。
土坂峠を越えて里に下りても、食料が手に入らず自動販売機のコーラなどを補給するが、栄養が足らず久しぶりにハンガーノックを体験した。
ようやく現れたデイリーヤマザキでおはぎを買って栄養補給し、西武秩父駅まで戻り、輪行して帰宅した。
走行距離:79km 獲得標高:1,274m
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