じてんしゃで巡る古都(1)奈良・山の辺の道をポタリング。半分は押し歩き

歴史に登場する道路のうちで最古の古道と呼ばれる「山の辺の道(やまのべのみち)」。古代の面影を残す桜井から天理までの約16kmをBikefridayで走ってみた。沿道には陵墓や古墳、遺跡、古い社寺がたくさんあった(2022/03/20)


山の辺の道とは

wikipediaには以下のとおり記載がある。

山辺の道(やまのべのみち、古代読み:やまのへのみち、古風な表記:山辺道、旧字表記:山邊道)は、日本の古道の代表的な一つ。大和の古道の一つ。古代大和の山辺(やまのへ。山辺郡の語源にあたる地域名)に通した道である。日本史上(記録上)最古の道、日本現存最古の道として知られる。

奈良盆地の東南にある三輪山の麓から東北部の春日山の麓まで、盆地の東縁、春日断層崖下を山々の裾を縫うように南北に走る。

wikipediaより

撮影ポイント付きルートマップ

今回は橿原駅をスタートして近鉄奈良駅まで北上するルート。なかでも古代の面影を残す桜井駅から天理駅までの約16km(大部分が東海道自然歩道に指定されている)をじっくりと走った、というか歩いた。


京都駅から橿原神宮前駅まで輪行

東京から新幹線で京都入りして1泊。京都駅の上にあるホテルを拠点に翌日は京都宇治を、翌々日に奈良をポタリングして帰京した2泊3日の旅程。

2日目の奈良・山の辺の道ポタリングは、まず、京都駅から近鉄で橿原駅まで輪行することから始まった。

Point 01:橿原神宮前駅ホーム

午前9時40分、橿原駅を出発。

Point 02:橿原神宮前駅前

橿原神宮(かしはらじんぐう)へ

まずは、橿原神宮へお参り。第一鳥居前にある駐輪スペースにバイクフライデーを停めて歩いて境内へ。

橿原神宮は藤原京があったとされる現在の槇原市の中心部にある神社。明治23(1890)年、「日本書紀」の記述を基に創建された。

Point 03:橿原神宮 第一鳥居前

橿原神宮には日本の初代の神武天皇と皇后を祀っている。広大な境内は、とても気の良い場所。歩いていると清々しい気持ちになった。

Point 04:橿原神宮 拝殿前

飛鳥寺に立ち寄る

次に訪ねたのは、飛鳥寺。橿原神宮からまっすぐ東に向かって走り、飛鳥川の明日香大和郡山自転車道を少し南下した所にある。

Point05:明日香大和郡山自転車道

飛鳥寺は、静かな田園風景が広がる飛鳥の里にある。

日本で初めての首都として約100年間、飛鳥文化が栄えた文明国家・日本の原点とも言える飛鳥時代の古いお寺。日本最古の仏像・飛鳥大仏が安置されている。

Point06:飛鳥大仏が安置されている飛鳥寺本堂

飛鳥寺にはバイクラックが設置された駐輪スペースがあった。レンタルバイクもたくさん停まっていたので自転車での史跡めぐりが普及しているということか。

Point07:飛鳥寺の駐輪スペース

山の辺の道へ

山の辺の道は奈良と桜井を結ぶ古道で、山裾に沿うように続いている道。ハイキングルートとして使われる古道なので、自転車で走行できる場所は限られる。今回は桜井から奈良方面へ走った。

Point08:多武峰街道へ合流

JR西日本の桜井線(万葉まほろば線)と、近鉄大阪線が乗り入れている桜井駅からすぐのところに、多武峰街道への曲がり角がある。

多武峰街道

多武峰街道は、交通量が少ない静かな街道。昭和の景色が残る道をのんびりと走れました。大阪湾に注ぐ一級水系の本流、大和川に出ると山の辺の道への入口(出口)はもうすぐ。

Point09:大和川


山の辺の道を走り出す

三輪から奈良へ通じる古道、山の辺の道。歴史に登場する道路のうちで最古の古道と呼ばれ、現在その道をはっきりと跡づけることはできないが、海柘榴市(つばいち)から三輪、景行、崇神陵を経て、石上から北上する道と考えられている。

Point10:山の辺の道入り口(出口)

古道は「仏教伝来の地」の碑がある場所から始まる。

Point10:山辺道と書かれた石の道標

山の辺の道は、遊歩道(ハイキングコース)となっているので、自転車で走れない場所が多い。自分はアスファルト以外の道は自転車を押して歩いた。

Point11:竹林がある山の辺の道

聖徳太子が建立したといわれている三輪山平等寺も山の辺の道のそばにあった。

ポイント 16Point12:三輪山平等寺の下

十字路に石の道標があった。行き先に「いせ」とある。昔は道路標識など無いからこの道標が頼りだったに違いない。

Point13:石の道標

大神神社

山に囲まれひっそりと佇む神社があったので、自転車を駐輪してお参りをした。

大神神社「おおみわじんじゃ」は、日本最古の神社といわれている。ご神体は三輪山そのもので、本殿はなく山に向かって拝む。古代の信仰形態を現在に伝えている。

Point14:大神神社

アスファルト敷きでない道が続く。自転車は押して歩く。

Point15:山の辺の道 茅原ハスロード

玄賓庵の先は鬱蒼としたトレイルになった。底がカーボンでできているSIDI Drakoでは歩きづらい。やはり、歩けるサイクリングシューズの導入を本格的に検討すべきか。

Point16:玄賓庵前

山辺道という古風な表記の石碑。漢字は旧字表記で山邊道。

Point28:山辺道 石碑
Point17:檜原神社への道

檜原神社の先からクルマが通れる幅のアスファルトの道になった。ようやくサイクリング再開だ。

Point18:檜原神社前

大和の青垣

「大和の国はまほろば たたなづく青垣 山ごもれる大和し 美し」と古事記にうたわれた、この景色。

「大和は国の最も素晴らしいところ。どこまでも続く青垣。 山に籠っている大和はうるわしい」と解釈するようだ。

Point19:大和の青垣

奈良盆地は遠くに見える生駒産地や矢田丘陵、すぐ手前の景行天皇陵、右手の巻向、三輪の山々など幾重にも緑の垣根に囲まれたようになっている。このあたりは大和青垣国定公園に指定されている。

道端には、今にも倒れそうな木があった。支えが無くて大丈夫なんだろうかと思うが、きっと大丈夫なんだろう。

Point20:倒れそうで倒れない木

一旦、大和高田桜井線という県道に出る。が、すぐに脇道に入る。

Point21:長閑な道

果樹園がいくつかあり、道端に柑橘の果物が売られていた。


大和三山

琉球山古墳群、垂仁天皇纒向珠城宮跡、立子塚古墳、渋谷向山古墳(景行天皇陵)などの古墳がある場所を通過する。

道端に「大和三山を眺められる」という小さな案内を見つけたので立ち寄ってみた。

Point22:大和三山を眺められる場所

坂を少し上がった場所に大和三山を眺められる場所はあった。

大和三山とは、橿原市に位置する香具山・畝傍山・耳成山の三山をいう。確かに幾重にも青色の垣根が見える。

大和三山を忠実に描いた絵

大和三山が見下ろせる場所のすぐ下に、渋谷向山古墳がある。第12代景行天皇の陵とされる。

Point23:渋谷向山古墳の前

少し走ったところには、行燈山古墳という第10代崇神天皇の陵とされる古墳もあった。

山の辺の道はこうした数多くの史跡に出会えるいにしえの道。訪れる人を「古代ロマンの世界」へと引き込む。

午後2時すぎに天理市に入る。

野菜や果物を無人販売する民家のすぐ脇や、

Point24:野菜や果物の無人販売

お寺の境内(というかお墓の中)や、

Point25:念仏寺を通る山の辺の道

里山の中を山の辺の道は通っている。

Point26:天理の山の辺の道

石上神宮

午後3時、石上神宮に到着。ここで古代の面影を残す山の辺の道は一旦終わる。

石上神宮非常に歴史の古い神社で、「古事記」・「日本書紀」にも記述がある。

Point27:石上神宮 鳥居前

境内には、烏骨鶏などのにわとりが放し飼いにされている。神の使いだとか。

石上神宮のにわとり

アフターライドは酒蔵で癒やされる

天理市からは、県道51号線でまっすぐに北上して奈良市に入り、奈良市福智院町にある今西清兵衛商店に立ち寄った。春鹿を醸す日本酒の蔵元だ。

Point29:今西清兵衛商店

自転車で来訪したけれど、帰りは近鉄奈良駅まで歩いて、その後は宿泊先の京都まで電車に乗って行くことを伝え、日本酒の試飲をさせてもらった。

酒蔵見学限定酒の純米吟醸酒と純米生原酒が美味しかった。前者は売り切れていたので純米生原酒と白滴と封印酒を購入して自宅に送ってもらった。

酒蔵見学限定酒 無圧搾り 純米生原酒

日本最古の道と言われる奈良・山の辺の道には、名刹、古刹、古墳が多く、日本の歴史を実際に見て感じることができる貴重な場所だ。自然の景観も保全されているので、ハイキングやサイクリングに向いていると思う。

近鉄奈良駅

奈良には、山の辺の道以外にも魅力的な場所が多い。機会を見つけて再訪したい思う。


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