2014年6月、自転車でスイスを旅行しました。「スイス・アルペンパノラマルートを行く」では、その準備から旅行の記録を掲載しています。第7話はリンタールからルツェルンまで68kmを走った、ツーリング2日目の模様です。
目次
「スイスモビリティ」について
スイスには、トレッキングやカヌー、ロードバイクやMTBなどのアウトドアアクティビティと、鉄道などの公共交通機関を組み合わせてスイス国内を巡る「スイスモビリティ」という旅のスタイルがある。これはパッケージツアーなどではなく、国が整備したトレッキングルートやサイクリングルートを利用して自分なりに旅程を組み立てて楽しむ新しい旅のスタイルだ。
アルペンパノラマルートを走る
今回我々は、全長600km、獲得する標高が7500mにもなるアルペンパノラマルートと名付けられたナショナルルート4号を走破する計画を立て、10日間の日程でスイス入りした。1日目は、チューリッヒからリンタールまで移動。2日目からリンタールからクラウゼンパスまでヒルクライムして、ブルネンまでダウンヒル、そしてブルネンからルツェルンまでは鉄道で輪行しました。下の動画は、リンタールからクラウゼンパスまでのヒルクライムの模様を収録しています。
7時前に起床し、まずは朝の散歩を楽しむ。グラールス州のリンタールはシェーヘン谷の麓に位置する静かな町。
これから始まるヒルクライムを前に、可憐な花を眺めて心を落ち着かせます。
朝食は、いつものスイススタイルのブレックファスト。パンとチーズとハム、そしてヨーグルト。温かいものはないが、しっかり食べてこの後に備える。
クラウゼン峠(1,952m)へ
午前8時30分、標高672mからのスタート。ピークまでの距離は約25km。獲得する標高は1,280mだ。
走りだした時の気温は21度。通常の6月のスイスであればもっと涼しいはずだが、我々が訪れた時、数十年に一度と言われる熱波が来ていて、とても暑かった。この日も灼熱の太陽に苦しめられることになる。
ゆっくりと自分のペースで上り始める。デュラエースのホイールを履いたシャイデック号は軽いバイクだが、5kg近い荷物を積載していたので、ゆっくりとしか上れなかった、という方が正しいかもしれない(笑)
この上りで熱中症になる
走りだして1時間、420mほど上ったあたりで、気温が30度を超えた。
切り立ったシェーヘン谷の斜面をグングンと上る。気温が段々と上がり暑くなってきた。
標高1,380m、2時間ほど走ったところに町があらわれ、ジェラート屋さんを発見したので即座に入る。火照った体をお店のクーラーで冷やし、冷たいジェラートをいただく。ミルクのジェラートはさっぱりしていてとても美味しかった。
町をあとにし、再び上り始める。太古の昔に氷河が削った谷が美しい。しかし、暑くて景色を眺めて楽しむ余裕はなくなっていた。
黙々と上る。
標高が上がると、気温もどんどん高くなっていった。
走りだして3時間半、午前11時ごろに、ついに気温が40度となった。
運動による大量発汗と呼吸による不感蒸泄で、体が脱水症状となり頭痛がしてきたのはこの頃だ。ボトルの中には、電解質が含まれているドリンクが入っていたので、筋肉が攣るまでには至らなかったが、かなり危険な状態で走っていたのではないかと思う。
「頭痛」は熱中症IIどの症状なので、本来は医療機関の診察が必要な深刻な状況。この脱水症状の後遺症なのか、このあとの旅程はずっと体調不良になってしまった。
巨大な岩の壁が現れる
道がヘアピンにカーブする場所があり、目の前に巨大な岩の壁が現れた。標高1700m付近にある窪みのような場所だ。地図にはクヴェルファル(Quellfall)と書かれている。
巨大な岩の壁の前でしばらく休憩をとったあと、再び上り始める。残り250mほどだ。
ピークに近づくと、道路のそばにはまだ雪が残っていた。しかし、涼しいということはなかった。
12時52分。走り始めて4時間12分でクラウゼンパスに到着した。
普通、標高2000m近くの峠は、涼しいか寒いはずなのに、ここはとても暑かった。日影を見つけて各々昼食をとった。僕は全く食欲がなかったが、ハンガーノックになるのが怖かったので、フルーツを無理やり食べた。そして、日影で横になって目をつぶり休んだ。
ブルネンまでダウンヒル(GoPro映像あり)
日影で十分な休息をとったおかげか、体がちょっと元気になった。散り散りだった他のメンバーも集まり始めたのでダウンヒルの開始だ。クラウゼン峠からブルネンまでは標高差1,480mのダウンヒル。GoProをヘルメットに装着して撮影してみたので、ぜひ下の動画を見てみて欲しい。GoProは手ブレ補正機能がないので、路面から受ける振動ブレがひどいため、ソフトウェアで補正した。なので、画面が酔っているみたいにグニャグニャしています。
クラウゼン峠からの下り道は、予想通り、絶景のワインディング・ロードだった。途中、ビュルグレンやアルトドルフなどスイス建国の歴史をたどるウィリアム・テル伝説ゆかりの地を通過したりすると、あっという間にルツェルン湖に着いてしまった。
ブルネンからルツェルンまで鉄道輪行
ブルネンからはSBB(スイス国鉄)でルツェルンまで輪行の旅。上の映像の後半にあるとおり、自転車を電車の車両にそのまま乗っせられるので、快適に輪行ができる。自転車をそのまま持ち込む場合は、乗車運賃と同額のバイクチケットを購入する必要があります。
午後5時、ルツェルン駅に到着。駅にあったミグロス(大型食料品店)で水やお酒や食料を買い込んで宿泊先にい向かう。
午後6時、ユースホステルに到着。
洗濯や入浴(シャワー)を済ませて、夕食をとりお酒を飲むとあっという間に寝てしまった。
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