じてんしゃで沖縄の美しい道を走るシリーズ記事、沖縄ちゅら道ポタリング。(5)は、うるま市の離島、伊計島・宮城島・平安座島・浜比嘉島・藪地島を巡った100kmのロングライド(2022年6月)
撮影ポイント付きルートマップ
うるま市に5つの離島を巡るサイクリングルートがあると知り、Googleマイマップで大まかにルートを引いてみると滞在先の読谷村から往復80〜90kmぐらいだとわかった(下図の紫のライン)。6月に機会があったので行ってみた。
出発
2022年の6月は日本列島に熱波が襲いかかり、暑熱順化できていない人が次々に熱中症で搬送されるという初夏が訪れていた。
沖縄も例外なく暑かったのだが、午前中の涼しい時間帯に走り終えてしまえば、それほど辛いサイクリングにはならないだろうという甘い見通しで早朝の読谷村を出発してうるま市に向かった。
読谷村から伊計島までは37km。15km/hのペースで走れば2時間半ほどだ。観光をしたとしても朝の5時に出れば昼過ぎには戻れるだろう。そう思っていた。
腹が空いていてはじてんしゃが漕げないので、まずはコンビニで補給。沖縄のおにぎりといえばやはりコレ。あとサンドイッチを流し込む。
読谷村からうるま市へ行くために沖縄本島を横断するには嘉手納町を通過する。嘉手納町にはアメリカの極東最大の空軍基地がある。面積は日本最大の空港である羽田空港の2倍もある。
その広大な軍事空港を右手に見ながら走りぬけると、沖縄市の市街地に出る。そのまま東に走るとやがてうるま市の与勝半島に着く。
往路はまだ気持ちに余裕があったので、与勝半島の中央にそびえる勝連城を見学しようと思い坂を上っていく。ところが勝連城は9時オープンだったので見学できず。。。沖縄の城(ぐすく)は、有料見学のところが多く営業時間外は門が閉ざされているのだ。
与那城(よなしろ)を通過し、与勝半島(勝連半島とも呼ぶらしい)の金武湾(きんわん)側にある海中道路へ向かって進む。
海中道路
6時50分、海中道路の西端に到着。
与勝半島の北側から平安座島(へんざじま)にかかる5.2kmの道路を海中道路という。海中道路は海の中にある道路ではなく、海の上に架けられた橋でもなく、土手を築くことで出来た海上道路。
沖縄復帰直前の1970年代に、石油コンビナートが平安座島に建設され、その石油業者が海中道路を建設した。その後、沖縄県道に昇格し現在は県道10号線となっている。
海中道路は元が産業道路だったとは思えない美しい道、ちゅら道だ。歩道も広く交通量も少なく静かなので、波の打ち寄せる音を聞きながらのんびりと自転車で走ることができる。
浅瀬に築かれた堤防の上にある海中道路は、目線とほぼ同じ高さで金武湾の美しい遠浅の海が広がる。
海中道路には船舶航行のための橋(平安座海中大橋)が架かっていて、地元の漁師の船が航行していくのが見えた。
道の駅あやはしの与勝半島寄りに、砂浜に突き出た堤防があった。近くにある海中道路ビーチのためのものだろうか。
平安座島
7時15分頃に平安座島へ上陸。
島の南側には人が住んでいる街があるが、北側の大半が石油コンビナートとなってるため無機質な感じだ。
平安座島の東側、宮城島へと渡る桃原橋までの防波堤には 約300mに渡って市の小中学生が描いた護岸アートが広がっている。ゆっくり走りながら眺める。校名や名前が書いてあってなんとも長閑。
宮城島
7時30分頃、宮城島に上陸。
平安座島と宮城島は小さな橋で結ばれていて、すぐに上陸できる。宮城島は、隣の平安座島とは異なり農地が広がる自然が多い島(Googleの航空写真を見るとよく分かる)。
島内を通る県道10号伊計平良川線は、起伏に富んでいる。島の北端に土砂の採掘所があり、本島に向け頻繁にダンプカーが行き交っていた。
宮城島の北側にはシヌグ堂遺跡やヤンガー(湧き水が出る場所)があるようだったが、スルーして先を急ぐ。伊計大橋を渡ると伊計島だ。
伊計島
7時55分頃、伊計大橋を渡り伊計島に上陸。1982年に開通した伊計大橋が完成するまで、沖縄本島の屋慶名港から船で片道約2時間を要したそうだから、伊計島は遠く離れた島だったのだろう。
伊計島は農業が盛んな島のようで、大半がサトウキビなどの畑だった。
Googleマップに「伊計島ひまわり畑」と表示された場所を通ったが、ひまわりは咲いていなかった。
「伊計島灯台」と表示された場所に行ってみたが、灯台を見学することはできず、灯台の頭の部分がちょっと見えただけだった。
読谷村の知り合いに「伊計島のビーチはきれいだから寄ったほうがいい」と言われていたので、大泊ビーチに行ってみたが、有料ビーチとなっており利用者しか立ち入れないとのことで、ここも見学できず。
どうしてもきれいな砂浜を見たくて、島の最北端にある太伯ビーチに行ってみたが、ここもリゾート施設の敷地となっていて駐車場で引き返した。
ビーチへの入り口をいろいろと探索してみたが見つからず時間だけを浪費した。のんびりしていると太陽が上って帰り道が辛くなってしまう。砂浜の見学は諦めることにした。
あとで知り合いに聞いてわかったのだが、藪のようなところを分け入っていくとビーチに出られるらしかった(悔)
GoogleMapで見つけた「仲原遺跡」というrelic(遺物)アイコンが付いた場所に行ってみた。遺跡は縄文時代後期の村落跡で、2100年以上も前からここに人が住んでいたらしいのだ。
8時45分、伊計島を後にし来た道を戻る。
伊計島から浜比嘉島へ
8時50分、宮城島に戻り阿茂地洞門をくぐって浜比嘉島へ向かう。
8時57分、宮城島の地味漁港付近を通過。
9時8分、宮城島の桃原ビーチ付近を通過。ぬちまーす観光製塩ファクトリーと果報バンタ(幸せ岬)に立ち寄りたかったが、先の行程を考えてスルー。
浜比嘉島
9時48分、平安座島から浜比嘉大橋を渡って浜比嘉島へ上陸。
relic(遺物)アイコンが付いているアマンジ(小島)に立ち寄った。
ここは「アマミチューの墓」と呼ばれる場所で、女神アマミチューをはじめとする神々が祀られている。小島の反対側へ出ると洞窟に墓がある。ちなみに島の南に男神シミルチューの霊場があるが、こちらはスルーした。
午前10時、気温が37度を超えてきた。急がねば帰り着く前にカラダが溶けてしまう。
relic(遺物)アイコンが付いている旧比嘉小学校にも行ってみた。立ち入ることができなかったが、海に面した高台にある校庭からは眺望が良さそうだった。
藪地島へ
再び海中道路を通行し与勝半島へ戻る。最後の離島である藪地島(やぶちじま)へ向かうためだ。
海中道路の真ん中あたりで、急にタイヤの圧が失われフラフラとする。パンクだ。急いでチューブ交換して藪地島へ向かう。
11時少し前、藪地大橋を渡り藪地島へ上陸。上陸したものの対岸に展望台があったので、一旦与勝半島側に戻る。
しかし、展望台(屋慶名展望台)は建替え中のため利用できなかった。再度、藪地島へ上陸しジャネー洞へ向かう。ジャネー洞は沖縄最古の土器が発見された遺跡で地元住民から祖先発祥の地として信仰を集めている場所。
ジャネー洞への道はダート道だった。走行には問題はなかったが、読谷村にあったチビチリガマのことを思い出し急に心細くなったので行くのをやめて引き返した。
あとで知ったが、藪地島はハブが多いことで有名なところ。行かなくてよかった。
灼熱のうるま市〜嘉手納町
11時20分、うるま市の離島5島をすべてを巡り終えた。
ここまでの行程は、早朝の市街地から島を巡って走っていたので、海水と風の影響もあって快適に走ることができた。
しかし帰路は灼熱の市街地だ。気温はどんどん上昇するだろうし、焼けたアスファルトを走ることになる。
急いで読谷村に帰るために県道37号線を走り出したのだが、お腹が空いていることに気づき、TERUMAという商業施設に吸収される。食事を取ろうと思ったのだが、胃がご飯ものを受け付けないのでシャーベットを食べた。
出発する時に持った経口補水液750mlのおかげで、脱塩水症にはなっていないようだったが食欲は確実に無くなっていた。
うるま市の塩屋付近で道を間違え、往路とは違う道に進んでしまった。大した遠回りでもないからと思って進んだのだが、これが良くなかった。無駄に上らされることになり体温が上がり大量に発汗してしまう。気温は39度を超えていた。
その後、道は平らになったが発汗が止まらずボタボタとあごから落ちた。何とか嘉手納町までは戻ったものの、一旦体を冷やさないと走り続けられそうもなかったので「道の駅かでな」にピットイン。
1時間近く冷房が効いた場所で休憩させてもらった。食事も摂ることもできた。しかし心拍数が90を下回らない。きっと体温が下がらないのだろう。
意を決して再び走り出す。残り6kmほどをゆっくり走って何とか帰ることができた。宿泊地に戻って冷たい水を浴槽にためてドボンとしたのは15時近く。甘い見通しで危なく熱中症になりかけたポタリングだった。
走行距離:101km 走行時間:6時間18分 平均速度:16.1km/h 高度上昇:900m
うるま市5島めぐり まとめ
うるま市にある「平安座島」「浜比嘉島」「宮城島」「伊計島」「藪地島」は、沖縄本島から気軽に行ける離島。満潮時には左右に真っ青な海が広がり、海の上を走るような爽快感が味わえる海中道路で行くことができる。
自転車でサイクリングする場合は、海中道路近くまでクルマでデポすると走る距離もそれほど多くなく様々なスポットを巡れるだろう。ただし時間に余裕を持って出かけることをオススメする。
道中は、日陰が少ない場所が多いので気温の低い涼しい日を選ぶと快適に過ごせると思う。
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