京都府の北に位置する丹後半島。関東からは遠く離れた地だが、新幹線と京都丹後鉄道で天橋立まで行き、間人温泉までじてんしゃで走ってみた(2022/5/15)
目次
撮影ポイント付きルートマップ
下図の赤いラインが走ったルート。
JR山陰本線と京都丹後鉄道で輪行
丹後半島の付け根に位置する天橋立までは、京都駅から直線で80km、クルマや徒歩だとだいたい120km前後の距離がある。今回は、電車輪行で天橋立まで移動した。
天橋立までのタイムテーブルは以下のとおり。
- 07:32発 JR特急きのさき1号・城崎温泉行 乗車
- 08:47着 福知山 で乗り換え
- 08:57発 京都丹後鉄道特急たんごリレー1号・豊岡行 乗車
- 09:35着 天橋立駅着
福知山でJRから京都丹後鉄道(以下)への乗り換え時間がわずか10分しかないのが心配だったが、丹鉄駅員の方々の見事な誘導により無事乗り換えられた。
特急たんごリレーには、北近畿タンゴ鉄道が導入して京都丹後鉄道が使用しているKTR8000形が使われている。「タンゴディスカバリー」や「丹後の海」の愛称がある。
客室天井と壁は白樺、床はナラ、座席は楓の木を使用しているため、電車の車内というよりどこかのお宅にお邪魔したような感じ。
自由席の2号車に乗車したので、最後尾のシートに座った。輪行袋は座席の後ろに収まった。上の画像は撮影のため置いただけ。
宮津駅で列車の進行方向が変わるので、乗客自身で座席の方向を変える必要がある。
天橋立を出発して丹後半島へ
9時35分に天橋立駅に到着。ホームや駅舎にはピアノの音が優雅に流れていた。
じてんしゃを組み立て、早速出発。
天橋立は、幅が約20~170m、全長約3.6kmの砂州に約6,700本もの松が生い茂る珍しい地形で、何千年もの歳月をかけて自然がつくりだした造形。
砂州には道路があり、自転車や排気量が125cc以下のバイクであれば通行できる。道路の名称は府道・天の橋立線。
天橋立は、駅裏手にある展望所からの眺めを楽しむのが一般的だが、展望所に自転車で上って行けないのでやめておいた。
天橋立には、名前のついた松が20本近くある。一つひとつ名前の由来が表示されているので、読みながら進むと楽しそうだが先を急ぐ。
砂州は長い時間、人やじてんしゃ・バイクの車輪で踏み固められているのでフラットで走りやすい。のんびり走ったつもりだったが、3.6kmの距離はあっという間だった。
自転車ナビラインがある国道178号線
府中エリア側に渡り、国道178号線に接続。丹後半島へ走りだす前に、スーパー「にしがき府中店」で補給食や飲料水を調達。補給食はカロリーメイトを入手しただけだったが、後になって、もっと買っておくべきだったと後悔した。
国道178号線は、京都府舞鶴市から日本海の海岸線を沿うように若狭湾と丹後半島を周回して鳥取県岩美郡岩美町に至る国道。
丹後半島の国道178号線には、「海の京都」というマークと主だったスポットまでの距離が自転車ナビラインとともにプリントされている。
自転車ナビラインは、自転車道ではないが「自転車は車道の左側を走る」ということをクルマのドライバーへ伝える優れたサインだ。
海の京都?
ちなみに海の京都とは、日本海に面する京都北部エリアの7市町(宮津市、京丹後市、舞鶴市、福知山市、綾部市、伊根町、与謝野町)で構成している一般社団法人の活動名称。7市町の歴史・文化や豊かな自然をプロモーションしている。
宮津市の岩ケ鼻というところに着いた。近くに漁港があるようで、集落となっていた。
更に進むと大島という集落があり、伊根湾に突き出た小山を周回する道を上らされる。わずかな高低差だが、この上りが終わると目の前に伊根の舟屋が現れた。
伊根の舟屋
一度訪れてみたいと思っていた場所のひとつ、伊根の舟屋に来ることができた。
伊根の舟屋とは、伊根湾沿いに立ち並ぶ民家で、船の収納庫の上に住居を備えた、この地区独特の伝統的建造物のこと。特に価値が高いものとして国が法律によって選定もしている。
舟屋もその敷地もそれぞれ個人の所有物なので立ち入ることはできないが、道路(または観光船)から見ることができる。
酒蔵もあったので立ち寄った。酒粕を使ったアイス最中をいただき蔵前でしばし休息。
年間30万人も国内外から観光客が訪れるというで伊根の舟屋だが、コロナ禍のためかこの日は空いていた。
丹後半島の北端へ
時刻は昼。伊根の舟屋を後にし、丹後半島北端へ向かった。
伊根の舟屋まで平坦だった道が、アップダウンが連続する道へと変わる。当初の予定では、海岸伝いの道を走って行く予定だったのだが、新井崎街道の上りがきつかったので、内陸部を走る国道178号線へ復帰した。
今回は半島を反時計に回った。時計に回ったほうが、道路の左(海側)を走るので景色が綺麗に見えるようだ。
伊根町の峠という地区を通過し、本庄上地区へ出た。民家が現れたので、道がフラットになるかと思われたが、じわじわとした上りが始った。
自転車ナビラインとともに、「経ヶ岬10km」という表示が現れた。
丹波半島を時計に例えると、伊根の舟屋は3時にあり、経ヶ岬はちょうど12時にところにある。
蒲入トンネルで少しだけルートをショートカット。トンネルには歩道があったので、安全に通過できた(といってもクルマの往来は殆どなかった)。
蒲入(かまにゅう)
トンネルを抜け、道を下ると漁港がある小さな町、蒲入地区。ここを通り過ぎると丹後半島の絶景が姿を現し始める。
蒲入は、「かまいり」と読むのかと思ったが、「かまにゅう」だった。『丹後半島の旅/澤潔著』に「蒲入のカマとは断崖絶壁の地をさす。ニウとは入り江のことであろうか」と書かれているので、断崖絶壁の地の入り江という地名ということになる。
蒲入展望所近くから見た海岸線(上図)と、その海岸線を蒲入ロードパークから見た(下図)。確かに断崖絶壁で、しかも入り江だ。
相変わらず上り基調の道を進むと覆道が現れた。覆道は雪崩や落石、土砂崩れから道路を守るために作られた、トンネルに似た建造物。
覆道を抜けると「カマヤ海岸の大岩」が垂直に切り立っていた。
上り基調のまま、経ケ岬隧道へ。このトンネルは歩道がなく、路側帯もなかった。
経ケ岬の展望台と灯台
13時40分、丹後半島の最北端である経ケ岬に着いた。灯台と展望台があるようなので立ち寄った。ただ岬へは、なかなかの難コースを克復する必要があった。
まず国道178号線を離れ、標高差80mを一旦下った後に80m上り返し駐車場まで行く。次に自転車を駐輪し、登山道のような険しい道とコンクリや木の階段を登って展望台まで行く。そして、再度下って灯台まで登り返す。
ここで新しく導入した「歩けるサイクリングシューズ」が、さっそく役に立った。fi’zi:k TERRA CLIMA X2は、ソールが曲がるので歩きやすくビブラムソールは、グリップが良かった。
経ヶ岬展望台からの展望は、鬱蒼とした木々が邪魔で今ひとつだった。経ヶ岬灯台は、100年以上も前に設置された施設で大きなレンズを使用した国内では希少な灯台だった。
日本海と海岸段丘が織りなす絶景一直線
経ヶ岬を過ぎると、山陰海岸ジオパークのモデルコースとなる。このあたりは、海岸の地形が階段状に高くなっている海岸段丘が続く場所。丹後松島・屏風岩・立岩などが次々と一直線に現れる。
海岸線には棚田や水田があり、畑が作る直線や曲線と段丘のダイナミックな地形が見事に調和していて美しかった。
丹後町平のあたりは民家が多く、文字通り平らな道が続いた。
丹後松島を見られる展望所でじてんしゃを停めた。
丹後松島とは何だろうと思ったが、丹後町此代(このしろ)から東に向かって小さな島々が連なっていて、日本三景の松島に似ている事から丹後松島と名付けられたそうだ。
屏風岩展望台という場所に着いたが、どれが屏風岩なのかわからなかったので、先に進んだ。屏風岩は展望台を見下ろすと見えたようだった。
てんきてんき丹後という道の駅でじてんしゃを停め休憩。少ない補給のためガス欠だったので、ソフトクリームで糖分と水分を充填。
ほどなくして、目的地である丹後町間人に到着。立岩を通過してしまったのが心残りだが、久しぶりのロングライドで疲れてしまったので、そのまま投宿。
丹後半島を走ってみて
京都から100km近く離れた日本海側にある丹後半島は、関東方面からは気軽に行ける場所ではない。ただ、行ってみてわかったことは、クルマの交通量が少なく道路が走りやすいことと、山や海などの自然が多いので見どころや立ち寄るところも多くて楽しい。
半島なので海岸線の道路はアップダウンが多いため、重いバイクフライデーではハンディがあったが、軽いロードバイクで荷物を減らして走ればきっと楽しいだろう。
あと、やはり時計回りで走ったほうが、絶景をより楽しめると思った。補給ポイントが少ない(というより無い)ので、カロリーの高いコンパクトな栄養食を持っていくといいだろう。
また訪れてみた。
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