シリーズ記事・鉄道遺構を巡るじてんしゃの旅(11)では、北海道にある定山渓鉄道の廃線跡を訪ねた。〈その1〉は白石駅から石切山駅までにのエピソード(2023/9/29)
目次
定山渓鉄道とは
定山渓鉄道線(じょうざんけいてつどうせん)は、かつて北海道札幌市白石区の東札幌駅から南区の定山渓駅を結んでいた定山渓鉄道(現:じょうてつ)の鉄道路線である。1969年に廃止された。
定山渓鉄道は定山渓温泉と札幌を結んでいたが、木材や鉱石の運搬にも使われていた。しかし自動車の普及とともに貨物輸送をトラックに奪われ始め、徐々に旅客もバスやマイカーに流出していき1969年に廃止された。
現在は社名を「じょうてつ」へ変更し、バス運行を主体に経営している。
ルートマップ(撮影ポイント付)
下図の赤いラインが定山渓鉄道廃線跡。グレーのラインが実際に走ったルート。
廃線跡を巡る
午前8時に札幌での宿泊地であるホテルメッツプレミア札幌を出発。JR千歳線に沿って東に向かい、苗穂駅を通過。苗穂駅近くには、かつての旧国鉄苗穂工場で製造されたD51の動輪が残されていた。
豊平川の平和橋を渡って平和通りを南東方面に進むと定山渓鉄道の起点である白石駅に着いた。
起点白石駅
白石駅は北海道札幌市白石区にあるJR北海道 函館本線・千歳線の駅。そして、かつての定山渓鉄道の起点。ここから廃線跡を辿ってみた。
白石駅からJR線にそって北西へ進むと定山渓鉄道の廃線跡は左へカーブしていった。
カーブに沿って進み西に進路を変えると、青々と雑草が生えた廃線跡が現れた。おそらく廃線跡であろうこの場所は、現在、駐車場として利用されているようだった。
道道1148号 札幌恵庭自転車道線(白石こころーど)
ここでちょっと寄り道。札幌市白石区と北広島市を結ぶ一般道道1148号線をちょっと走ってみた。
道道1148号は、自転車歩行者専用道路で「札幌恵庭自転車道線」と言う通称がある。札幌市内では白石区区間を「白石こころーど」、厚別区区間を「陽だまりロード」などと呼称している。
この道道1148号線は、定山渓鉄道廃止後に貨物線として使用された線路と旧国鉄千歳線の跡地を自転車歩行者専用道として転用したもののようだ。
二代目豊平駅(じょうてつ本社)
白石こころーどを北上していくとやがて右カーブが現れ、進路が北東に向く。大型商業施設の「ラ・ソラ札幌」の辺りには定山渓鉄道の東札幌駅があったようだが、痕跡は確認できなかった。
ここで180度向きを変え、廃線跡に戻る。
しばらく走ると左手に「じょうてつ」と表示された建物が現れる。
ここは定山渓鉄道の二代目の豊平駅駅舎があった場所(上図)。
駅舎はバス会社事務所として長く使われ、プラットフォーム部分がほぼそのままの形で残っているとのことだったが、付近をいくら探しても見つからなかった(駅舎は2005年にマンションに建て替えられた)。
最初の豊平駅
さらに進むと、今度は最初の豊平駅に着いた。東光ストアの壁に「定山渓鉄道跡(最初の豊平駅)」とあった。
豊平駅があった場所から廃線跡は真南に進路を変える。
付近の道路や土地は北海道らしく東西南北に区画されているのに、定山渓鉄道の線路跡だけは不思議なカーブを描いてまっすぐに伸びていた。
地下鉄と合流する廃線跡
ライラック公園を過ぎて少し進むと、道路の幅が急に広がり中央分離帯(植え込み)が現れた。
ここあたりから廃線跡は、右手後方からくる地下鉄南北線と合流。地上は定山渓鉄道の廃線跡、地下は地下鉄南北線となる。
そして地下鉄南北線は、道道89号線と交差した後に地上の高架線となった。雪が多い地域のため高架線はシェルターで覆われている。
しかし、なぜ、定山渓鉄道廃線跡に地下鉄南北線の高架があるのだろうか。
答えは簡単だった。札幌市が地下鉄南北線を建設途中だった頃に定山渓鉄道が廃止となったので、地下に作るより余剰となった地上に作ったほうが安くできるから。
澄川駅と札幌市交通資料館
南北線の高架線に沿って平岸通を真南に進み、澄川駅を通過。 定山渓鉄道の駅の中で、名前も場所も南北線に引き継がれたのは唯一この澄川駅だけとなっている。
右手に陸上自衛隊の真駒内駐屯地が見えた頃、札幌市交通資料館が現れた。そして少し先の南北線高架下になんと古い電車の車両が展示してあった。レトロなデザインで皆かわいい。
※上図は柵と柵の間からスマホのレンズで撮影した車両
真駒内駅・緑ヶ丘停留所
屋外展示の場所の少し先に定山渓鉄道の真駒内駅跡があったようだが、何の痕跡もなかったので通り過ぎてしまった。
さらに先には南北線真駒内駅があり、駅の下にあるバス停が緑ヶ丘停留所跡かと思われたが違った。緑ヶ丘停留所跡は、その林の中だった。
南北線はここまで。ここからは姿の見えない廃線跡を辿る。
真駒内川と国道453号真駒内通線を越えたあたりで景色が抜け、定山渓がある山々が見えてきた。
石切山駅
午前10時30分に石切山駅に到着。白く塗られた壁に赤い屋根が映える木造駅舎だ!
ここは廃線となった定山渓鉄道で唯一保存されている駅舎。駅舎は廃線後、「石山振興会館」として利用されている。
石切山駅は、かつてこの近辺で採取した札幌軟石の積み出しでとても賑わったという。この石切山駅の木造駅舎にも札幌軟石が使われている(建物左側の下部分)。
石切山駅の裏手に回り、豊平川に出るとおいらん渕と呼ばれるよどみがあった。川岸には切り立った岩肌が見える。
さて、今回の旅はここまで。この先の定山渓駅までのルートは別の機会に訪れたいと思う。
豊平川左岸に沿って札幌市内に戻った。途中、サイクリングロードで鹿に遭遇したのにはびっくりした。
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