鉄道の遺構をじてんしゃで巡るシリーズ(6)は、埼玉県川越市にある西武鉄道安比奈線を訪ねた。安比奈線は古い線路施設を辿れる廃線として、鉄道ファンのあいだで知られている。今回はシクロクロスバイクのIndependent Fabrication Planet Xrossで巡った(2021/07/18)。
鉄道遺構マップ
安比奈線は下図の紺色のライン。マップのマーカーと記事画像のキャプションは連動しています。
西武鉄道・安比奈線とは
安比奈線(あひなせん)は、埼玉県川越市の南大塚駅から安比奈駅を結んでいた西武鉄道の貨物線である。1963年より50年以上の長期間にわたり休止となっていたが、2017年5月31日に正式に廃止となった。当路線が延びていた入間川の対岸には安比奈新田(あいなしんでん)という地名があるが、安比奈線の安比奈の読みは「あひな」である。(ウィキペディアから引用)
ルート
安比奈線の区間は、下図グリーンラインのルートで安比奈駅跡から南大塚駅まで走行。距離は3.2km、所要時間は1時間10分。
サイクリング全体では、渋谷〜荒川(笹目橋)〜入間川(上江橋)〜八瀬大橋〜安比奈駅跡〜南大塚〜渋谷で距離104km,所要時間11時間45分だった。
廃線跡を辿る
終点・安比奈駅跡の周辺
渋谷を午前7時に出発し、荒川と入間川のサイクリングコースを乗り継いで走ること52km、安比奈という地名の場所に到着。入間川の左岸を走っていたので、対岸に移動して安比奈駅跡を探す。
自作のマイマップを頼りに安比奈駅跡へ向かうと、河川敷の草むらの中に古びた線路跡をすぐに見つけられた。
駅の跡地らしき施設は見つからなかったが、後で調べたところポイント1の画像の先に駅があったらしい。
安比奈線は、入間川の砂利を都心に運ぶための貨物線だった鉄道。河川の砂利を取りすぎると災害が起こるということで、砂利の採取を制限する法律ができ、安比奈線は突然その役目を終える。1963年(昭和38年)から列車が走らぬまま、2017年に正式廃止となっている。
休止から58年を経て、コンクリート構造物や一部のレールが現存する安比奈線。
レールに食い込んだ木の根が、その歳月の長さを物語っている。
上の画像の先が南大塚駅方面。私有地なのでこれ以上入って行けない。
安比奈駅跡の周辺は、現在、モトクロスバイクの練習場になっている。
池辺の森を抜けて
安比奈駅の痕跡を求めて駅があった西側にも行ってみたが、モトクロスバイクの練習場は探索できそうにもなかった。駅の痕跡は諦め、廃線跡を辿るために南下する。
車の往来が多い道路と交差した辺りに、遺構があった。池辺用水橋梁だ。この橋は、NHKの連続テレビ小説で登場したことがあり、一時、一般開放されたようだ。
池辺用水橋梁の南には池辺の森があり、その中に廃線跡がひっそりと残っていた。
更に南下し続けると、田園風景の中に住宅が増え始めた。
実は、この辺りに「葛川橋梁」という古い鉄橋があったのだが、うっかり見逃してしまった。
線路から遠ざからないように、道路をジグザグと走りながら廃線を辿っていく。
道路のアスファルトに埋まった廃線跡もあった。
茶屋で一服
廃線跡を辿りながら南下し続けると、やがて線路は入間川街道と交わる。角に「丸和だんご 川野屋」という和菓子店があったので休憩がてら立ち寄った。
川越名物の焼きだんごと酒蒸しまんじゅうをいただく。素朴で美味しかった。
南大塚駅跡の周辺へ
しばらく行くと、今度は国道と交差した。交差地点のレールは撤去されていたが、アスファルトに薄っすらと跡が残っていた。
廃線跡を辿るために国道を横断したかったが、車の往来が激し過ぎたので迂回して信号のある横断歩道を渡った。国道を越えるとまた、線路が姿を現した。
片側のレールが取り外されひとつに纏められていた。間もなく完全に撤去されてしまうんだろうか。
南大塚駅跡に到着した。ここにもアスファルトに埋め込まれたレールが残されていた。かつてここには踏切があったようだ。上の画像は安比奈駅方面、下の画像は南大塚駅方面。
奥のレールと手前のレールがつながらない不思議な場所。
かつては下の画像のあたりに0キロポストが設置されていたようだが、今は無い。
南大塚駅前には、安比奈線が営業していた当時のものなのか、線路が記載された古い地図が掲げられている。なかなか味がある。
廃線・安比奈線は、都心から電車であれば1時間ほど、自転車でも3時間あればアクセスできる「身近な廃線跡」。古い線路施設が残る廃線跡として有名な場所であり、廃線好きにとっては聖地のような場所。今回、鉄橋を見ることはできなかったけれど、見どころが多く実に楽しかった。また訪れたいと思う。
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