自転車で伊勢神宮へ行く道中を紹介する東海道中輪栗毛。後編は、浜松から遠州灘の風が吹き荒れる渥美半島を走り、海路で志摩半島へ上陸して伊勢神宮に至る道中となります。志摩半島をポタリングした道中もおまけで付いています。
ルート
東海道中膝栗毛の物語りの中で、弥次さん・喜多さんが歩いたのは、下記、図1と図2のルート。一方、今回私が自転車で走ったのは図3のルート。重なっているのは、浜松から白須賀宿(静岡県湖西市白須賀)までのわずか20kmなので、なぞったとは言えませんが目的地が同じなので東海道中輪栗毛としました(笑
【図1:東海道中膝栗毛のルート 浜松〜宮宿】
弥次さん・喜多さんは浜松を出発し、新居の渡しで浜名湖を渡ったあと、名物のうなぎを食べ進路を北西に変え、赤坂宿(いまの愛知県豊川市赤坂)、宮宿(愛知県名古屋市熱田区)に宿泊する。
【図2:東海道中膝栗毛のルート 宮宿〜伊勢神宮】
弥次さん・喜多さんは、宮宿から渡し船で桑名へと渡り、伊勢路で徐々に南下して伊勢神宮にたどり着く。途中、四日市宿の旅籠、松阪宿の木賃宿、妙見町の旅籠藤屋へ泊まる。
【図3:私が走ったルート】
浜松を出発し、舞阪で浜名湖を横切ったのち、潮見坂を経て渥美半島をひたすら西に走り、伊良湖岬からフェリーに乗って鳥羽で志摩半島に上陸。伊勢へと至るルート。
旧東海道の地図は、こちらのサイトを参照して作成
■GpsCycling.net
東海道五十三次 旧東海道地図
浜松から向かい風の渥美半島を走る
浜松駅近くの宿を早朝に出発。風向きをチェックすると、風は東に向かって吹いていた。天気予報では、西北西の風ということだったが、風はまっすぐに東に吹いていた。この日の行程のほとんどは渥美半島を走るので、ほぼ向かい風のなか進行する、ということが判明した。
冷たい向かい風だったが、ペダルを漕いでいると体は次第にポカポカとしてくる。東海道五十三次の30番目の宿、舞阪宿には8時に着いた。
東海道中膝栗毛の弥次さんと喜多さんは、この舞阪から新居までは、海の上を4kmほど乗合船で渡り、新居の宿では、名物のうなぎの蒲焼きに舌鼓を打っている。現在の舞阪〜新居間は道路で結ばれているが、江戸時代には陸路がなかったのだ。
新居を過ぎると白須賀となり、ここから東海道を離れ、渥美半島に突入する。遠州灘の風は相変わらずまっすぐ東に吹いていた。
渥美半島の風はたいてい東に向かって吹いているので、向かい風だからといって、いちいち落胆などしていられない。なるべく楽に攻略できるルートを考えるのだ。半島の北側を走る国道259号線メインで行く北ルートか、それとも南側の42号線メインの南ルートか。私は進路を北ルートにとった。大した理由はないが、太平洋に面した南側は更に風が強いんじゃないかという読みだ。
読みが当たったのか外れたのかわからないが、伊良湖岬まではずっと向かい風の中を走った。景色の写真なんか一枚も撮る気が起きないくらい風にいじめられた。唯一撮ったのは、途中で休憩した「ニュー渥美観光」で飲んだメロンジュースの写真だけだ。
伊良湖岬からフェリーで志摩半島へ
伊良湖岬に12時40分に到着。鳥羽行きのフェリーは出港したばかりだった。次の船は13時40分なので時間はたっぷりある、そう思って遠州灘の写真を撮っていた。
しかし、港を見るとフェリーが停まってる。スマホで時刻を再度調べてみると、Aダイヤ、Bダイヤ、Cダイヤがあり、時期によって運行時間を変えているようだった。この日はBダイヤで13時00分発だった。全然時間が無いじゃん!と慌ててチケットを購入してフェリーに飛び乗ったのだった。ちなみに伊勢湾フェリーは、1000円払えば自転車をそのまま載せられる。輪行袋に入れれば無料で持ち込める。
■伊勢湾フェリー 鳥羽~伊良湖間運航時刻表
フェリー乗船中は、いつも寝ることにしている。船に揺られながら眠ると気持ち良いのだ。約55分で鳥羽港に着く。鳥羽港には「鳥羽マルシェ」なるものがオープンしていた。鳥羽・志摩の農水産物を直売していて、レストランでは地産メニューのビュッフェが食べられるようだが、あいにくクローズしていた。売店で伊勢海老とスープを注文したが、オペレーションが悪くずいぶん待たされた。
伊勢神宮へ
鳥羽港から伊勢神宮は、県道37号(鳥羽松坂線)で行くのが便利だ。少しアップダウンがあるが、距離が近いし、山に囲まれた静かな道を走っていると、ああ、これから伊勢神宮に行くのだな、という感じがするのだ。
16時に伊勢神宮・内宮に到着。弥次さん喜多さんは、江戸を出て14日目に伊勢に到着しているが、私は、電車と自転車で2日でたどり着いてしまった。この日の伊勢神宮は成人式ということもあって、境内はとても混雑していたが、無事参拝をすませることができた。お守りも買ってミッション終了。
ここまでで、東海道中輪栗毛(後編)は終わり。今回は、白須賀から東海道を離れ、渥美半島を経て伊勢神宮を訪れるルートだったが、次回は、冒頭にある【図1:浜松〜宮宿】と【図2:宮宿〜伊勢神宮】のルートで弥次さん喜多さんが歩いた道をたどってみたいと思います。
志摩半島ポタリング
3日目は、志摩半島を少しだけ走ってみた。スタートは志摩半島の志摩磯部駅、ゴールは渥美半島の三河田原駅。約70kmの行程。
志摩磯部までは近鉄鳥羽線で輪行。
志摩磯部駅から県道16号線で的矢方面へ。
穏やかに吹く風のなか、入り組んだ海岸線に沿ってのんびりと走る。
的矢を過ぎると道は県道47号線となる。県道ではあるが、ところどころ道幅が急に狭くなっていたりして交通量も少なく走りやすい道だ。半島特有のアップダウンはあるものの、山を上ったかと思えば、目の前が開けて断崖から海が広がっていたりして変化があって楽しい道だ。
国崎というところを過ぎると、県道750号線となる。県道と言っても軽自動車がやっと通行できる道幅しか無い。軽自動車はたいてい地元の漁業関係の人が運転している。けっこう飛ばすので怖い。
浦村町のかき小屋で、牡蠣を食べた。とても美味しかったが、東京に帰った2日後に感染性胃腸炎になってしまった。寒さで体が弱っていたのかもしれない。
鳥羽からは再びフェリーで渥美半島に渡り、爆風に押されてあっという間に三河田原に着いた。これで往路の拷問は帳消しか(笑
三河田原駅からは、豊橋鉄道渥美線で輪行。この路線は、有料(100円)だが自転車を電車の車内にそのまま持ち込める。前日走りながら見た景色を今度は電車の車窓越しに眺める。
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