chicorynさんに撮っていただきました。

苦しくも終わってしまえば忘れられぬ2009BRM411青葉300(2)

山の中の坂と強烈な向かい風、そして昼間の暑さ、夜の寒さに苦しめられたブルべ青葉300km。しかし、その悪条件下で制限時間内走行という目標を達成できたことの充実感は何物にも代えがたいものとなった。本記事はその(2)2009/04/11

(1)から続く

16:57 PC3 富士川ライン

PC3デイリーヤマザキ富士川ライン店前
PC3デイリーヤマザキ富士川ライン店前

PC3に到着したのが16時57分。

とりあえず南北に吹き付ける強風から解放され、ホッとするが、ここからは進路を東に変え本栖湖方面への山岳ステージだ。

貯金が1時間30分に増えたけど、油断は許されない。何といっても僕は上り坂に弱いのだ。

事前に得ていた「イヤになるほど長い坂道」という情報は、十分に気持ちを萎えさせたが、これを終われば後は基本下るだけ。最後の難関だ。まるごとバナナとガリガリくんバナナ味を食べていざ走り出す!

目の前に壁が現れました。本栖みち入口付近
目の前に壁が現れました。本栖みち入口付近

背中に夕日を浴び、ゆっくりと静かな本栖みちを上がっていきます。それほど傾斜はきつくありません。160kmを走った足でなければ辛くはないでしょう。

つづら折りの道をひたすら上がる。後続のブルべライダーが見える。
つづら折りの道をひたすら上がる。後続のブルべライダーが見える。

ただ、距離が長いのです。延々と20km、標高差700mほどを上り続けます。基本インナーローでクランクを回します。でも同じ姿勢を続kていると腰が痛く辛くなってきたので、ギアを落としてダンシングを混ぜたりします。

本栖みちでマジックタイムを迎えました。
本栖みちでマジックタイムを迎えました。

日が暮れました。いつの間にか僕の後ろにブルべライダーが一人いた。お互い疲労のため何も話さず、真っ暗な山道を黙々と上り続けます。

3つトンネルをくぐったら、終わり
3つトンネルをくぐったら、終わり

PC3で「トンネルを3つくぐったら終わりだから」と教えてもらっていたので、トンネルが待ち遠しかった。1つ、2つとくぐる・・・でも3つ目がなかなか現れない。暗闇を進む。すると、前方に明るい何かが見えました。

あっ、あぁ・・・

なんだ対向車のヘッドライトか・・・。二人ともこのときはじめて声を洩らしました。それほど長い上り坂に飽きていて変化を求めていたのでした(笑)

そしてほどなくして3つ目のトンネルをくぐり本栖湖に到着しました。

防寒、ストレッチ、補給、撮影と大忙しな頂上付近
防寒、ストレッチ、補給、撮影と大忙しな頂上付近

続々とブルべライダーが到着します。

ここから次のPCまではまだ30km以上あります。ストレッチなどを行って体をほぐすと幾分腰が楽になりました。みな、ここで防寒着を着用します。

気温差が激しいという事前情報があったので、ウェアはずいぶん悩みましたが、万が一の雨と防寒のためにモンベルのゴアテックスのレインジャケットを持参。これが正解。

フードも被ると冷たい空気を見事に遮断してくれ、快適に下り坂を楽しむことができました。

国道139号線・富士パノラマラインの鳴沢付近の気温は8度。
国道139号線・富士パノラマラインの鳴沢付近の気温は8度。

国道139号線は、だらだらと緩いのぼりが続きます。これが結構つらくて参りました。

信号で止まるたびに再び走り出すのが嫌になりました。そんな時、「もうすぐ終わりますよ」と後ろにいたcherubimに乗ったブルべライダーに声をかけられました。そうか、自分はいま一人ぼっちで走っているんじゃないんだ。と再びペダルを踏み始めることができました。

富士急ハイランドも通過!
富士急ハイランドも通過!

走行距離が200kmを越えました。あとは山中湖までたどり着いて、山伏を登ればあとは下りだけだ。これだけを考えて138号線は走っていました。

国道138号線 気温は7度 目の前に明るい月が現れた
国道138号線 気温は7度 目の前に明るい月が現れた

「明神前」信号を左折し、山中湖に到着。
ここまでくれば、もう大丈夫だ。そう思いました。

鏡月が幻想的だった
鏡月が幻想的だった

21:41 PC4 山中湖平野

また貯金が1時間を割った
また貯金が1時間を割った

冷え切った体を温めるためにカップ麺を食べました。ホット缶コーヒーとホカロンも購入。とにかく暖をとります。コンビニの駐車場に座り込み、体を小さくして目を閉じて休みますが、寒くてじっとしていられません。走り出すことにします。

山伏峠
山伏峠

山伏峠まで少し上り、いよいよ長い長い道志みちを下ります。あと、5時間30分で80km走ればいいんだ。余裕はある。そう考えて慎重に山道を下っていきます。

新兵器の出番です!!
新兵器の出番です!!
効果絶大!
効果絶大!

暗い山道を高速で下るには、視界が良好でなければいけません。ということで導入したGENTOS SENN SG-305。

実際に使ってみた印象は「明るい」でした。照射範囲狭くする「絞り」機能を使えば、遠くまで照らすことができます。フロントフォークに防振材とともにくくりつけていたので、ブレることもなく実によく働いてくれました。

都会に戻ってきました
都会に戻ってきました

道志みちを終え、串川橋から510号線、向原東側から508号線と乗り換えます。

そして道が分からず立ち止まって地図で確かめていると、本栖みちを一緒に登ったancherのライダーがやってきて「こっちでいいんですよ」と教えてくれました。

そして、その後、道に不案内な僕をゴールまでずっと引いてくれました。最後に道に迷いたくなかったので、とてもありがたいことでした。

不思議なご縁だと思いますが、彼とはこんなことがありました。

午後3時ごろ、国道20号線の甲府付近を走っている時、車道の真ん中に落下したライトを発見しました。街乗りの自転車についているものでないことはすぐにわかったので、戻って拾いました。手に取ると「FENIX L2D」だった。ブルべライダーの落し物だ。でも誰のものか分からなかったので、とりあえず持って走り出しました。しばらくすると前方からブルべライダーが歩道を逆走してきました。それが、彼でした。この先、暗い夜道でこのライトが無いと困ったことでしょう。彼に帰すことができてよかったです。

あざみ野の桜の下を通って、ゴールは目の前
あざみ野の桜の下を通って、ゴールは目の前

26:30 Goal あざみ野

往路では渋滞していた57号線も深夜はガラガラ。信号ではきっちり止まり、焦ることなく確実にぺダリングをします。そして制限時間の1時間前の26時30分にゴールしました。

貯金は1時間ぴったり
貯金は1時間ぴったり

ゴール地点では、梶野沢で見送ってくれたchicorynさん、atsuさん、se7enさんが出迎えてくれました。感謝です。

chicorynさんに撮っていただきました。
chicorynさんに撮っていただきました。
反省会は各自夢の中で
反省会は各自夢の中で

午前2時を過ぎていたので、ファミレスで始発を待つことになりました。そこには仲間がたくさんいました。遅いゴールの僕に「お疲れさま!」と皆が声をかけてくれます。そして、もう何度も話したであろう、あの坂は、あの峠はという話をしてくれます。感謝です。

一人で走ってきた道ですが、仲間も同じ道を走ってきたのです。

ブルべの参加資格に「20歳以上で自己完結できるサイクリスト」というのがあります。物理的には快楽も苦痛もトラブルも全部ひとりで完結できないといけないのですが、気持ちの部分で仲間と共有することはできるのです。ブルべは、これがまた楽しさの一つなのも知れません。

走行距離:308.75km
走行時間:19時間(グロス)15時間30分(ネット)
平均速度:19.9km/h
最高速度:62.1km/h
獲得標高:3700m

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