自分好みの味を求めて。佃煮店を巡るじてんしゃの旅(関東編)

われわれ日本人の食卓でおなじみの惣菜である佃煮。一見地味な存在だが、ひとくち食べると「これこれ!」と言いたくなる美味しい味。自分好みの味を探求するためにじてんしゃで旅に出てみた。

佃煮を探す旅に出たきっかけ

2020年末に病気をして一ヶ月ほどお粥を食べる生活が続いたことがあった。お粥は消化が早く、食べたあとに胃もたれしないので病気が治ってからも白粥を食べ続けた。そして、お粥と一緒に食べていた佃煮の美味しさを再発見し、いろいろな味を探求し始めた。これが佃煮屋さんを巡るようになったきっかけ。

佃煮とは

わざわざ説明する必要もないが、佃煮(つくだに)は、醤油と砂糖で甘辛く煮付けた日本の食べ物。小魚、アサリなどの貝類、昆布等の海藻類を煮染めたものを呼ぶ。

佃煮の由来

諸説あるようだが、wikipediaは以下のように記載している。

江戸時代、徳川家康は名主・森孫右衛門に摂津国の佃村(現在の大阪市西淀川区佃)の腕の立つ漁師を江戸に呼び寄せるよう言い、隅田川河口・石川島南側の干潟を埋め立てて住まわせた(東京都中央区佃島)。佃島の漁民は悪天候時の食料や出漁時の船内食とするため自家用として小魚や貝類を塩や醤油で煮詰めて常備菜・保存食としていた。雑魚がたくさん獲れると、佃煮を大量に作り多く売り出すようになったといわれ、保存性の高さと価格の安さから江戸庶民に普及し、さらには参勤交代の武士が江戸の名物・土産物として各地に持ち帰ったため全国に広まったとされる。

ウィキペディア – 佃島

佃煮店を巡るじてんしゃの旅マップ

東京には、江戸時代に創業した佃煮店が今もある。下図に巡ったお店を記載したので、興味のある方は訪れてみると楽しいと思う。

佃島・天安

佃煮発祥の地佃島にあり、創業(1837年)当時からの製法を守った「たれ」を味付けの基本とする老舗佃煮店。「たれ」は色々な素材を煮た時の最後に残る煮汁で、185年分のあらゆる素材の味が染み込んでいるとか。

01 : 佃島・天安

佃島には佃煮店が3軒あり、天安はその中の一軒。

02 : 佃小橋と日の出湯

下表に記載した画像は、買ってきた佃煮をお粥と一緒に食べた時に撮影したもの。評価は私の主観。実際とは違うかもしれないので目安程度に思って欲しい。

葉唐辛子
香り香り弱め
塩梅辛さ弱め 塩分良し
やや緑
お茶漬け昆布
香りしっかり昆布の香り
塩梅辛さ強め
濃い
きゃらぶき
香りふきの香り
塩梅バランス良し 好み
やや明るい茶色

天安本店
〒104-0051 東京都中央区佃1-3-14 Tel:03-3531-3457

佃島・佃源 田中屋

佃煮発祥の地佃島にあり、江戸時代末期に創業した老舗佃煮店。初代源右衛門が、土で作ったかまどで雑魚を煮て住吉神社の万人講に振る舞ったのが佃煮の始まりと言われている。

03 : 佃島・佃源 田中屋
あみ
香り甲殻類特有の香ばしい香り
塩梅甘くて塩辛さなし
明るい茶色
細切り昆布
香り昆布の香り弱め
塩梅甘め、かなり細いので口当たり柔らかで味が染み出しやすい
やや明るめの昆布色

佃煮本家 佃源 田中屋 〒104-0051 東京都中央区佃1-3-13

浅草橋・鮒佐

1862年に大野佐吉が創業した老舗佃煮店。当時、塩煮が一般的な製法だった佃煮に、初代佐吉が初めて醤油を使い、現在の佃煮の原型を作ったと言われている。創業より受け継がれた「一子相伝」の製法を今も守り続けている。

04 : 浅草橋・鮒佐

今では珍しい「へっつい(かまど)」を使って炊き上げるという鮒佐の佃煮。火力はなんと薪を使っているそうだ。

詰め合わせ 家庭用パック
昆布
香りしっかり磯の香り
塩梅ちょうどよい塩分、旨味
昆布の色が出てる
アサリ
香り弱め
塩梅ちょうどよい塩分、噛みしめると旨味あふれる
濃い

鮒佐 〒111-0053 東京都台東区浅草橋2-1-9

柳橋・小松屋

1881年(明治14年)に創業した老舗佃煮店。神田川にかかる柳橋のたもとにある。

05 : 柳橋 小松屋

柳橋は、昭和の初め、花柳界としてにぎわったところ。

投網漁涼み船や投網で採れた魚を天ぷらや刺身にして客に出す船宿を営んでいた小松屋が、柳橋の料亭のおみやげとして、鮒のすずめ焼きや、江戸前の佃煮を売り出したところ、やがて評判となったそうだ。

05 : 柳橋 小松屋

小松屋の佃煮は、新宿高島屋など有名百貨店の食品売り場などでも購入できる。パッケージがなんとも可愛らしい。

細切り昆布
香り昆布の香り控えめ
塩梅塩分少なめであっさりまろやか味
濃いめ
きゃらぶき
香り少なめ
塩梅塩辛いがあっさり味
色が薄くきれいな緑色

柳橋・小松屋 〒111-0052 東京都 台東区 柳橋 1-2-1

羽田・大谷政吉商店

多摩川の河口近くに架かる大師橋のたもとにある老舗佃煮店。多摩川のサイクリングロード「たまリバー50」沿いにあるので我々じてんしゃ乗りにの中には立ち寄ったことがある方もいるのではないでしょうか。

06 : 羽田・大谷政吉商店

創業以来、伝統の味にこだわり過ぎることなく時代とともにお客さんの声を反映し、うす味でやわらかく素材の持つ旨味を活かしたという「若炊あさり」はこちらのお店の看板商品。私はけっこう好み。

若炊あさり
香り生姜の爽やかな香り
塩梅うす味。白ごはんやつまみにちょうどよい。
明るいあさり色

大谷政吉商店 144-0044 東京都大田区本羽田3-24-11

築地・佃茂

1830年頃(天保年間)に佃島で創業された老舗佃煮店。現在は築地本願寺横にある。

07 : 築地・佃茂
昆布
香りメモなし
塩梅メモなし
やや明るめの昆布色

佃茂 〒104-0045 東京都中央区築地3-10-9

新橋・玉木屋

1782年(天明2年)に江戸片側町(現在の新橋一丁目)に創業された老舗佃煮店。店名は、創業者の七兵衛の郷里である玉木村(越後の国の通称)にちなんでいる。

08 : 新橋・玉木屋

職場に近いこともあり、時々立ち寄ることがある玉木屋さん。佃煮の他にお茶漬けやふりかけなどがあり、便利で美味しい。上記店舗は引っ越す前の旧店舗。現在は、新虎通りにある。

昆布
香り生の昆布のような磯の香り
塩梅甘め。薄め。柔らかい味
明るめの昆布色

玉木屋 〒105-0004 東京都港区新橋4-25-4 新虎通り

佃煮の味を求めて

ざっと都内を巡っただけでも7店舗もあった佃煮店。実は他にもお店はあるので旅はまだまだ続くはず。みなさんも、ぜひ自分好みの佃煮の味を探してみてください。


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